債務弁済事例7:住宅ローンを滞納した父親に代わり一緒に住んでいる自分が買うことで解決しようとした事例
債務弁済事例7:住宅ローンを滞納した父親に代わり一緒に住んでいる自分が買うことで解決しようとした事例
概要:一緒に住んでいる父親から住宅ローンを滞納しているので家を売却して返済しようと思うと相談をされ、考えた結果、自分が実家を買う親子間売買で滞納を解決し、このまま住めないだろうか
不動産の種別:一戸建て 売主:父親 買主:息子
売買時のローン:必要 不動産の時価:2,700万円
ローン残高:1,400万円 希望ローン額:2,200万円
相談内容:
父親が一戸建てを購入したのが26年前。その頃は不動産価格が現在の倍ぐらいである5,000万円近い金額で購入したため、多額の住宅ローンも組み、当時は金利も4%近かったので、毎月の支払いは月18万円近いものであった。その父親も60歳を過ぎ収入が少なくなる中で毎月18万円ものお金を支払うのが厳しく、徐々に貯金を切り崩していき、ここ2ヵ月ほどは住宅ローンを滞納してしまった。
このことを息子である自分が知ったのは父親から「家を売却しようと思うが、これを機におまえは独立でいいか?」と聞かれたからだ。急な話だったので父親に売却する理由を聞いたところ、1回は言いづらそうに「情けない話だから言いたくない」と断られたが、しつこく聞くと「実は住宅ローンが支払えない」「銀行に相談をしたところ、今ならまだ売却し住宅ローンを完済するならペナルティはないと言われた」という理由で、売却に向けて動いていたという答えであった。
大手不動産会社の査定では売却想定価格は2,700万円。住宅ローン残高は1,400万円であったので売却しても現金は残る。それで夫婦で賃貸を月10万円ほどで借りて暮らす計画を立てることにしたようだ。
ただ、その話を聞いて息子は次の3点を考えたとのこと。①年齢を重ねる両親が毎月10万円を支払って亡くなるまで賃貸を借り続けることは厳しい、②自分も別に賃貸を借りるとなると余計にお金がかかる、③生まれてから住んでいる家をローンの滞納で手放すのは自分も両親も不本意。どうせ売るなら前向きな理由で売りたい。
そこで実家を住宅ローン残高価格で自分で買い取ることを検討してみたら、融資期間35年で毎月5万円弱の住宅ローンの支払い。これなら実家に住み続けるし、支払いも賃料以下なので負担は少ない。この親子間売買案が良いと判断をして、さっそく父親の借りていて住宅ローンの銀行に融資を申し込みに行ったのだが、「親子での不動産売買にはローンを出せません」とにべもなく断られてしまった。そこで、ネットで探した弊社に相談のご来室をいただいた。
問題点:
1)実家を買い取る親子間売買で住宅ローンを組めないだろうか
2)自分の親子間売買案に自身が気づいていない問題はないのか
解決方法:
息子の年収は約350万円と当初の売買価格1,400万円+諸費用分の希望ローン額を借り入れするのに十分であった。そこで問題点2)だが、時価2,700万円と売買価格1,400万円の差額が大きいため、税理士と相談をした結果、税務署から指摘を受けるリスクもあるので売買価格1,400万円は避けた方が良いと判断をした。これが唯一の問題点。そこで売買価格を時価計算でも問題ない2,000万円に調整。差額の一部は息子の毎月のローン支払いに補助することに充て、残りは両親の生活費に充てることに息子は了承して進めることになった。
問題点の1)。親子間売買の住宅ローンを通すには理由も必要なため、一連の経緯をまとめて3金融機関に打診。そこで金利0.75%、期間35年、融資額は諸費用込み2,200万円、毎月返済は約59,000円ともっとも息子が希望する条件を出してきた金融機関に決め、本審査に進み無事承認を得た。
あとは流れ作業となり、滞納をしている金融機関の承諾を得て、父親と息子で売買契約を締結。その後、ローン実行を行い登記名義移転してこの問題は解決した。売買契約の後、父親と話をしたら「このような方法があることをもっと早く知っていたら、3年も苦しまずに済んだと思います。教えてくれた息子には感謝しかありません」と仰っていた。
同じような事例でご相談がある場合は、是非当相談室までご相談ください。