生活支援事例2:老人ホームに入る母親所有の一戸建ての持分を買い取った事例
生活支援事例2:老人ホームに入る母親所有の一戸建ての持分を買い取った事例
概要:
介護付き老人ホームに入ることを希望する母親所有の一戸建ての持分を一時金、月額賃料を補填するために買い取った事例
不動産の種別:一戸建て(土地建物)
売主:母親 買主:息子(長男)
売買時のローン:必要
不動産の時価:4,500万円 住宅ローン残高:0万円
希望ローン額:1,800万円 自己資金 :0万円
ご相談内容:
父親が亡くなり、相続した一戸建ての自宅に一人で住んでいた母親も70歳後半となってから物忘れが多くなり、歩くと足に痛みが出ることから介護付き老人ホームへの入居を検討することになった。ただ、貯金で入居一時金を支払ってしまうと今後の生活に不安があり、また、月々の賃料を支払えるかも不安があった。そこで自分(長男)と妹(長女)、妹の夫の3人で話をした結果、住んでいる一戸建てを売却するか、賃貸をして資金のねん出をした方が良いという話になったが、母親から自分が生きている間は自宅をどうしても売りたくない、最後のときは自宅で迎えたい、という希望を伝えられ、話はストップした。そのため売却する話は一旦なくなったが、その後検討し続けたところ、入居一時金を捻出するにはまとまったお金がないため、やはり売却するしかないとなり再検討することになった。
そんな折に妹から、兄である自分か自身の夫がローンを組んで購入して、賃貸に出すことができないかという提案があった。そこで銀行の相談会に行ったところ、1)親子間の不動産売買にはローンを出せない、2)住まない(居住しない)なら更にローンが出せない、と取り付く島もなく断られてしまった。別の銀行だったら可能かもしれないと思い、複数の銀行にあたったところほとんどの銀行は難しいという回答であったが、A行の担当者のみ「不動産会社さんが間に入ってくれるなら検討します」という回答があったので、ようやく前に進むと思い、ネットで探したところ弊社が親子間売買に詳しいと思いご連絡をいただいた。
問題点:
1)親子間での不動産売買にローンは出るのか
2)母親の入居に足りるローン額は出してもらえるのか
3)税金など他に起きる問題はないのか
解決方法:
結論から言うと、A行は融資審査にて否決となった。弊社からお願いして購入時の売買契約書や資料などを提出いただき検討を重ねて結果、税金など他に起きる問題が少ない売買価格や売買方法を決定した。売買価格は入居一時金に多少賃料を補助する金額としてギリギリ足りる1,800万円とすることで余計な税金を支払わずに済むことにした。売買方法は時価との関係から今回は持分での売買を決定。時価近くすると4,500万円前後が妥当だが、ご年収や現在の借入状況からは、とてもそこまでの借り入れができなかったので、そのうちの1,800万円相当分を持分売買にすることにした。売買後は長男が第三者に賃貸することでローンの返済と老人ホームの賃料補填でまとまった。そこまでまとめて売買契約書や重要事項説明書を作成しA行に提出し融資審査に提出したが、融資の本審査では「理由はいろいろとありますが、親子間での売買なのでローンは厳しかったです」という報告があり、否決となってしまった。A行に話が違うので何とかならないか、とねじ込んだが結果は変わらずで、気持ちがくじけてしまいしばし間を空ける形となってしまった。
ただ、老人ホーム側からは入居の件で催促があったため、あまりゆっくりしていられないと再開して弊社にローンの相談。そこで弊社からB行とC行を紹介し書類を提出して審査をかけたところ、B行は居住用ではないので投資用ローンとしてなら承諾。金利は2%台で期間は30年。しかも諸費用も出してくれる話になった。一方でC行は金利1%台であったが借入額は1,500万円上限なら承諾という結果になった。金利は安かったが、融資額が足りない。そこで家族会議をしていただき、出た結論は金利よりも融資額ということでB行にてローンを受けることになった。
融資先を決めた後は、税理士を交えて税務申告まで踏まえた計画案の最終チェック。母親も高齢なので自身で申告ができないだろうということで税理士の先生に見ていただくことなった。計画案に問題がなかったので、売買契約等を締結して、そのまま融資実行。母親が入居後は予定通りに、所有者である息子が地元の賃貸管理会社に依頼をして第三者へ賃貸借が決定。想定よりも若干安い賃料となったが、計画案には不足がなく、空き家にしておくよりも良いので賃貸借が確定した。賃料からローン支払額を差し引いて、残った金額は老人ホームの賃料に充てることにした。一連の手続きが終わり、お客様も日常に戻って終わりとなった。
同じような事例でご相談がある場合は、是非当相談室までご相談ください。