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お役立ちコラム

こんな理由でも親子間・親族間売買はできる?~借金や税金の遅延滞納・リスケ・各法的整理~

親子間や親族間の不動産売買の中でも、一段ハードルが高い、金銭の問題を理由とした親子間や親族間の不動産売買(以下、親子間売買)の注意点や、解決方法をお伝えいたします。ぜひ、参考にしていただければと思います。

親子間・親族間売買がそもそも何か、適正価格などの基本情報を知りたい方は『親子間・親族間の不動産売買とは?~適正価格や税金に関する注意点など基本情報を解説~』も併せてご覧ください。

 

目次

金銭の問題とは

親子間売買等における、金銭の問題とは、法人個人を問わず、以下のような理由のものが挙げられます。

 

  • 借金(ローンやカード)や税金の遅延と滞納
  • リバースモーゲージの解消
  • 事業(担保)ローンの解消
  • 事業資金など他目的の利用
  • リスケ(利息のみの支払状況)の返済中
  • 代位弁済後の保証会社からの請求
  • その他、任意売却や自己破産、破産管財、私的整理など

 

現在は返済が滞っていなくとも、将来的に自己資金での一括返済や、毎月の返済ができる見込みがない場合も同様です。この金銭の問題を売主、買主のどちらかが抱えているようなら、親子間売買の理由が他にあっても「金銭の問題がある親子間売買」に分類されます。

金融機関から金銭の問題と思われてしまうケースも

買主がローンを利用する場合は、「金銭の問題がある親子間売買」と金融機関に見られないようにします。特に売主や買主が事業をしている場合は要注意で、実際は金銭の問題が理由ではなく「単に売主(親)が所有している不動産を買主(子)が買う」という話だとしても、金融機関は「そうは言うけど実際は売買を装った事業資金の捻出(金銭の問題)でしょう」と捉えます。

親子間売買は金銭の問題を理由とした話が多いために、そう思われてしまうのです。売主や買主が、「金銭の問題を理由とした売買ではない」という明確な証拠を書面で出さない限り、「金銭の問題を理由とした親子間売買」とされてしまうことに注意が必要です。

住宅ローンを返済中なら金銭の問題外となる

住宅ローンの支払いが苦しいために、親子間売買を行う場合は、返済状況により金銭の問題かどうかが判別されます。

住宅ローンの返済は順調であり、遅延や滞納をしていないようなら、「金銭の問題がない親子間売買」になりますので、本ページの内容を参考にせずとも問題ございません。

しかし、1ヵ月でも遅延していると、「金銭の問題がある親子間売買」になります。買主のローン審査は難しくなりますので、もし、遅延する可能性が将来あるようなら、お早めの対策が必要となります。

3つの基本方針と詐害行為取消権

弊社の金銭の問題を理由とした親子間売買の方針は3つあります。

 

  • 機会は1回限りのため事前準備を尽くすこと
  • 買主が取引後にトラブルに遭わないこと
  • 金融機関に審査上納得がいく説明を行うこと(ローンを組む場合)

 

この3つです。

特に金銭の問題による親子間売買では債権者(金銭等の貸主)の権利である「詐害行為取消権」の問題がつきまといます。この詐害行為取消権は強力な権利であるため、行使されないように対策し、手続きを進めていくことが必要となります。

詐害行為取消権に未対応の親子間売買は、たとえ売買を成立させたとしても、取引後に買主が破綻する可能性が高くなります。そのため「売買ができて良かった」ではなく、「そもそも売買をしない方が良かった」となるので避けるべきと言えます。

  • 詐害行為取消権とは

    詐害行為取消権とは何なのでしょうか。詐害行為取消権とは、債権者を守る権利で、債権者の同意ない債務者(金銭等の借主)の財産を処分する行為、を取り消すことができる権利のことです。

    親子間売買においては、債権者の同意がなく、親から子(親族)へ不動産を売買し名義を移しても、債権者などが「それは価格が安い」「納得ができない」と思えば、訴訟を行い、裁判所から売買を白紙にする判決をもって、元の親の名義に戻すことができる、という権利です。

    なお不動産に抵当権を付けている、付けてはいないは関係がありません。不動産の所有者に対して金銭等を貸している債権者が持っている権利です。そのため、売主と金銭等のやり取りがある債権者全員の同意を取りつつ、親子間売買を進めなければならないのです。

詐害行為取消権を行使されると買主が破綻する

「でもそれは売主(親)の話であって、買主(子)の自分は関係がないでしょう」

いえ、大きく関係するのです。しかも悪い影響が出てくるのです。

詐害行為取消権が債権者に行使されるとどうなるのでしょうか。いくつかの裁判所の判決文を拝見したところ、親子間売買自体は白紙となり、元の売主の名義に戻すことになっていました。また、名義を戻す費用や裁判にかかった費用はすべて債務者(売主)の負担です。多額の費用をかけて親子間売買をしたが元に戻されてしまい、かつ更に多額の費用をかけて元に戻すことになります。

ただ、これだけならまだ良い方です。買主がローンを組んで、親子間売買をされていたらどうなるか考えてみてください。買主はローンを出した金融機関から、ローンの一括返済を求められます。売主は、ローン分の現金は、借金等の返済に使ってしまいますので、買主に返金できないはずです。そうなると、買主は借りた金融機関へ一括返済ができません。結果、破綻しなければならなくなるのです。一般的には、自己破産など法的整理を行うことになります。このような悪い影響が買主にあるのです。人生を左右する話のため、詐害行為取消権への対応は軽視するべきではないのです。

詐害行為取消権を行使されると金融機関も大迷惑を被る

債権者に、詐害行為取消権を行使されると、金融機関は貸したローンが戻らないばかりか、担保とした不動産も買主の名義でなくなってしまいますので、何も手元に残りません。また、買主に、法的整理を選択されるとローンを取り戻せなくなるので、その分の損害を被ってしまいます。売主や買主は当事者ですから、詐害行為取消権が行使されたことは致し方がないですが、第三者である金融機関は悪く言えば騙されたといってもよく、大迷惑の話になります。

したがって、詐害行為取消権が行使される可能性が、ほんの少しでもあるのなら、金融機関としては最初からローンを出さない方が良いのです。皆様も、一切戻らない可能性があるなら、数千万円を貸されますでしょうか? おそらく貸さないはずです。売主や買主は、金融機関がするこの考え方や取り組む姿勢を理解して、ローン審査に臨むことが必要となるのです。

12の注意点について

以上3つの基本方針と詐害行為取消権への対応から、金銭の問題を理由とする親子間売買では、次に述べる12の注意点があります。

  1. 詐害行為取消権を行使されないよう、債権者の同意を得てから売買をします
  2. 債権者の同意や、債権額の確認に、時間と労力がかかります
  3. 破産管財、私的整理、任意売却、競売などの法的整理の手続きがある場合は、時間制限があるため、売主と買主の迅速な活動が必須です
  4. 各種ローン(住宅、事業)の利用はできますが、金融機関の求める条件は高く、金利も一般的なものより高くなります。
  5. 金融機関から見て「詐害行為取消権は行使されないので大丈夫」と、証明することが不可欠です。
  6. 売主の債権者ごとの債務状況(債務額、支払状況)や、税金の支払状況に関する根拠書類を金融機関に提出します。
  7. 金融機関の対応は「ぜひローンを借りてください」ではなく、「ローンの検討をしても良い」です。
  8. 「とりあえずローン審査を受ける」は落ちるだけなので無駄です。
  9. 親子間売買よりも、自分の感情やプライドを優先されると審査承諾が厳しくなります。
  10. 不動産の所在地が不動産の流通が活発な都市部にない、とローン対応が厳しくなります(弊社の取扱いエリア参照)。
  11. 買主が、「自分でローンを借りて不動産を買う」という意識が乏しい、と融資審査は通りません。
  12. 真っ先に行うことは、親子間売買に関する、売主と買主の話し合いです。

12の注意点に対する解決方針について

以上の12の注意点に対する解決方針は次のとおりとなります。

  1. 債権者に売買の同意を書面で得ることが必要です。
  2. 解決までにかかる時間を多めに見ておき、余裕をもって動くようにします。
  3. 法的整理の知識と経験がある専門家のサポートを得て、他のことよりも優先的に手続きを行うことが不可欠です。
  4. 金利、条件よりもひとまずローンが出ればOKと考えます。
  5. 詐害行為取消権が行使されない(だろう)と分かる書面を事前に関係各所から取り付けます。
  6. 債務や税金に関する書類は面倒くさがらず、事細かくすべて金融機関に提出します。
  7. 『自分はお客様だ』という意識は捨て、協力をお願いしたいという姿勢でローン審査に臨む方が好結果を生みます。
  8. 金融機関に「詐害行為に該当せず問題がない取引なのでローンを出せる」と思ってもらえるように取引内容をまとめ、関係書類を準備してからローン審査を行うのが近道です。
  9. 面倒くさがらず、何を言われても審査上必要なことと考えて対応します。
  10. 対象不動産が郊外にある場合は、買主が労力と時間をかけて地元の金融機関にお願いしてローンを出してもらうことが必要です。
  11. 買主が親子間売買を行う当事者意識が持てるまで話を進めないようにします。
  12. 売主と買主で「親子間売買を行う」と決めてから、金融機関や不動産会社に当たるようにします

解決方針の説明

解決方針の具体的な方法をご説明します。

1)債権者に売買の同意を書面で得る

債権者に売買価格を伝えて、債権者の同意を書面で取り、親子間売買を行うようにします。当初は口頭での同意でも構いませんが、最終的には書面で同意を得ておくことが必要です。法的整理を行うなら申立をした弁護士や破産管財人が、任意売却は弊社(不動産会社)が債権者と残額の確認を取り、同意を取ります。それ以外の場合はご自身で確認を取ることが必要となります。なお、カードや友人知人などからの借り入れも同様です。

2)解決までにかかる時間を多めに見て動く

金融機関は債権額の確認と売買の同意は、内部手続きで最低2週間はかかります。中には1ヵ月は見なければなりません。思っているよりも時間はかかりますので、早め早めの行動をお勧めします。

3)専門家のサポートと優先的に行う手続き

法的整理が入りますと破産管財人や弁護士から「この日までに融資審査の承諾を得てください」、「売買を終わらせて(決めて)ください」と時間に制限をかけられます。また何かと専門的な書類を求められますので、法的整理の知識と経験がある専門家のサポートを受けて、スケジュール内で手続きを進めることが必須です。これは弊社のPRではありません。法的整理や不動産売買、金融機関の実務に詳しくないと、スケジュール内での親子間売買に間に合いません。

4)ローンが出ればOKと考える

金融機関もローンを出すことは原則NGか積極的ではありません。理由は保証会社*が原則取り扱いはNGであり、詐害行為取消権の確認などで労力がかかる一方で、万が一ミスをすればトラブルを抱えこむ可能性があるからです。普通のローンを頑張った方が良いのは確実です。そのためたとえOKでも金利や審査条件のハードルは高く設定しています。

このため、一般的な金利よりも高くなることに抵抗を感じる方も多いと思いますが、誰しもが借りられる訳ではありませんので、ローンを借りられたら良かったと思って進めた方が良いでしょう。
* 保証会社:ローンの返済が滞ったときに金融機関に代わりにローン分を支払ってくれる会社。金融機関は保証会社の承認を得ないと、ローンを出してくれないのが基本。

5)詐害行為取消権が行使されない(だろう)と分かる書面の準備

金融機関のローン審査を受ける最低条件は「詐害行為取消権を行使されないこと」であり、「資金計画が成り立っていること」が分かることです。審査を受け付ける時点の最低条件です。そのため、審査を受ける時までに債権者ごとに債権額、返済予定額、売買の同意を取りまとめ、金融機関に「この融資額を出していただけるなら、債権者に同意を得た売買ができるので、詐害行為取消権は行使されない」と審査時に説明をしていくことがスムーズに進めるために必要です。

6)債務や税金に関する書類を金融機関に提出

売主の債権者ごとの債務状況(債務額、支払状況)や税金の支払状況をまとめた一覧表を始めとして以下のような書類を用意し、金融機関が債権者、債権額、支払状況を把握しやすいようにします。

  • 現時点の債権額が分かる書類
  • 支払状況が分かる書類
  • 決算書の全ページ(借入金の明細書は不可欠)
  • 税金が滞納をしていないことの証明書類(納税証明書が分かりやすい)

持っている書類は全部出すということが重要です。中には「面倒くさいので手元にあるこれだけの書類でいいですか」という方がいますが、「ローンを借りたくなければそれでも良いでしょう」という回答です。

7)お客様意識を捨てる・協力をお願いしたいという姿勢

詐害行為取消権のところで述べましたが、金融機関にとって金銭の問題を理由とした親子間売買へのローンはリスクがあるのです。「審査申込をしたのだから後は勝手に審査をして承諾をください」、「労力をかけるのは私ではなくそちらでしょう」といった姿勢では、金融機関の立場から見ると「対応が煩雑である」と敬遠され、審査に落ちてしまう原因になります。お客様意識は捨て、金融機関から求められた書類は労力をかけてすべて提出し、質問には期日内に答えていき、良い結果になるように協力をして進めていきましょう。

8)取引内容をまとめる・関係書類の準備

金融機関は何も言わなくとも、「詐害行為取消権が行使されない取引である親子間売買」と、証拠書類を取り揃えて説明されると、あとはローンを出すか出さないかを検討するだけなのでとても楽なのです。そのような準備をせずに「とりあえずローン審査」では、金融機関の負担が多く、忙しいときなら尚更「ローン審査は否決」と返した方が良いことは分かっていただけると思います。他にもっと良いローンの案件はあるのです。

9)審査上必要なことと考えて対応

金融機関から詐害行為取消権の確認のためいろいろ質問を受けますし、書類の提出を求められます。一見関係ないように見えることでも、審査上は関係があるので聞いてきます。「そこまで疑うのか」、「ここまで書類を準備するのは大変だ」など不満や愚痴、面倒くさがる方がいますが、ぐっと抑えてすべて審査上必要なことと考えて対応していきましょう。売主(親)のプライドは不要です。親子間売買の成立を優先させましょう。

10)対象不動産が郊外にある場合は地元金融機関へお願い

金銭の問題がある場合は、金融機関もローンを出した後に返済ができなくなる可能性も高いと考慮して、不動産が売却できローンを回収できる可能性を見ています。そのため、高値で買い手がつきやすい都市部の不動産だと検討しやすく、買い手がつきにくい郊外だとそもそも検討ができない、となります。したがって不動産が郊外の場合は、原則ローン利用は厳しいと考えた上で、不動産の近郊にある金融機関に熱意をもってローンを出してもらえるよう一件一件回ってお願いをしていきましょう。

11)買主が親子間売買を行う当事者意識を持つ

ローンを借りる場合は買主(子)の親子間売買の主体性が重要です。金融機関は売主(親)が自分の金銭問題を解決するために買主を使ってローンを引っ張り不動産売買を行う、このように見ています。これだと買主は、「私は売主に名義を貸しただけ」とローンを借りたのは自分なのに、どこか他人事になりやすく、故にどこかでローンの返済が行き詰まるのではないか、と金融機関から懸念され、融資を見送られてしまいます。そのため、買主が当事者意識を持てるまで、話は進めず、不明や不安な点はしっかりと話し合いを行っていきましょう。どのみち急いでも買主が他人事だと、ローンは出ませんし、通りません。

12)「親子間売買を行う」と予め決める

最初に行うのは売主(親)と買主(子)の不動産を売買する意思確認です。手続き方法や税金、ローンの金利や売買の損得など細かい話は、売買の意思確認の後で結構です。意思確認は売主から「買ってもらえるか」、買主から「買っても良いよ」で十分です。細かい話は後日一緒に確認をした方が効率的です。なお、不動産会社や金融機関への問い合わせは買主からの方が中身のある回答を得られます。

金融機関がローンを実行する条件は『売主の金銭問題の解消』

売主の金銭問題が売買やローン実行により解決することが、金融機関がローンを実行する条件です。「売主(親)の金銭問題が解決しないと、債権者から詐害行為取消権で訴えられ、買主(子)や不動産に問題が飛び火するので、今回の親子間売買で売主の借金を完済してください」ということが理由です。当然、「売買の後に解決をします」ではダメで「売買と同時に解決する」ことが必要です。

法的整理が進んでいる方がローンは通りやすい

詐害行為取消権を考えると、それを理解している弁護士が進めている法的整理や、破産管財人が関与している話ほど金融機関のローンは受けやすくなります。法的整理のため債務の免責や債権者との合意を得られるからで、詐害行為取消権は行使されないと、考えずに済むからです。

反対に申立ての段階だとどうなるか分からないのでやや厳しい、私的整理(任意整理)は法律で確約されないので厳しいということになります。当然、弁護士等を入れずに金銭の問題を起こしている売主(親)が、「自分で債権者と交渉しているので大丈夫」はまったくお話になりません。金銭の問題を起こしている売主は、ことお金については信用がないので尚更です。客観的に見て、詐害行為取消権は行使されない、この点は意識しておきましょう。

弊社では金銭の問題を理由とした親子間や親族間での不動産売買、そのローン対応も数多くの実績があります。お気軽にご相談ください。

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